民間バスの上下分離方式
晴れ
広島市と市内バス会社が路線バス維持のために上下分離方式を採用するという新聞記事やネット・ニュースを見ました。
上下分離方式とは、鉄道・道路・空港などの経営において、下部(資本=インフラ)の管理と上部(運行・運営)を行う組織を分離し、下部(資本)と上部(運営)の会計を独立させる方式です。
鉄道事業においては、すでに富山地方鉄道、伊賀鉄道など一部の鉄道で導入されています。
【参考】
(一社)日本民営鉄道協会
東洋経済 鉄道「上下分離方式」はコロナ禍の苦境を救う
国土交通省資料 地方鉄道の活性化に向けて
NHK 地方鉄道存続の危機
このたび広島市と民間バス会社(8社)が共同出資で新会社を設立し、車両や車庫などの資産を新会社が保有し、バス会社(運行会社)が車両や倉庫を借りて(リース)運行する仕組みを検討しています。(➡NHK)
全国的に路線バスは赤字に悩んでおり、車両などの維持管理コストの負担が大きいと言われています。路線バスに対しては国・県等、公的補助金がありますが、路線運営が厳しい状況下、公共交通を維持するための策として上下分離方式を採用するというもの。
江田島市における路線バスは民間会社(江田島バス)が運行しておりますが、株式の約98%弱を江田島市が保有しているので、ある意味で「市営バス」とも言えますが、国・県・市の補助金合計は令和3年9月決算で8914万円です。
2010年6月23日 限りなく市直営バス
【参考】
江田島バスの株主構成(参照➡第34期(R2.10.1~R3.9.30)決算情報)
株 主 | 保 有 株 式 | シェア |
江田島市 | 5280株 | 97.78% |
広島銀行 | 40株 | 0.74% |
自己株式 | 80株 | 1.48% |
合 計 | 5400株 | 100.00% |
江田島バスの受取補助金
決 算 資 料 | 期 間 | 受取補助金額 |
第30期決算 | H28年10月1日~H29年9月30日 | 5901万1千円 |
第31期決算 | H29年10月1日~H30年9月30日 | 7230万7千円 |
第32期決算 | H30年10月1日~R 1年9月30日 | 7501万4千円 |
第33期決算 | R 1年10月1日~R 2年9月30日 | 9372万4千円 |
第34期決算 | R 2年10月1日~R 3年9月30日 | 8914万円 |
一方、中町/宇品航路は平成27年(2015)10月に市直営から指定管理者制度を活用して公設民営化しました。(市HP➡モニタリング評価結果)市所有の船を民間事業者が利用して航路を維持して頂いています。これも一種の「上下分離方式」といえます。
【参考】中国新聞(平成25年10月30日)➡公設民営、目指すべき
市営船の民営化若しくは公設民営化議論において、当時の議会(交通問題調査特別委員会)は小島体表と意見交換しました。(➡視察、視察後のまとめ)
このように人口減少やこのたびのコロナ禍による利用者減により、公共交通機関の運営は厳しい状況が続いています。
3月に滋賀県が交通税の導入(➡こちら)を検討していることを書きましたが、地方だけでなく都市部も含めて、最終的に国が交通権(➡参考)を保障しなければならない時代に移行してきています。
国土交通省資料➡わが国における交通基本法と「交通権」の位置づけについて
交通船の公設民営化まで~西能美航路再々編 2012年11月15日 速やかな海上交通への取組を 2013年 1月29日 西能美航路の再々編へ 2013年 4月26日 西能美航路の再々編検討スタート 2013年 8月26日 西能美航路の再々編 住民説明会@江田島町 2013年 8月27日 西能美航路の再々編 住民説明会@能美町 2013年 8月29日 西能美航路の再々編 住民説明会@沖美町(沖地区) 2013年 8月30日 西能美航路の再々編 住民説明会@沖美町(三高地区) 2013年 9月24日 西能美航路の再々編 住民説明会@高田地区 2013年 9月25日 西能美航路の再々編 住民説明会@鹿川地区 2013年 9月26日 西能美航路の再々編 住民説明会@中町地区 2013年10月30日 続・第3回公共交通協議会 2013年11月18日 続・西能美航路の再々編 住民説明会@江田島町地区 2013年11月20日 続・西能美航路の再々編 住民説明会@能美町高田地区 2013年12月 3日 第4回公共交通協議会、「公設民営化」方針へ 2014年 2月11日 市営船合理化と消費税による値上げ 2014年 2月14日 第3回交通問題調査特別委員会 2014年 3月27日 西能美航路の再々編方針決定 2014年10月29日 臨時議会と第7回総務常任委員会 2014年11月 9日 いよいよ市営船の指定管理者募集始まる 2015年 1月23日 市営航路の指定管理、候補者決定 2015年 2月13日 H27第2回交通問題調査特別委員会 |
【追記】新型コロナウイルス
6月7日、マスコミが報道する広島県内の新規感染者数は351人(前日比10増)。県内3大都市では広島市180人(26減)、福山市は34人(6増)、呉市は41人(31増)。
一方、江田島市は0人(±0→市HP、県公表資料 )でした。
※6月6日(月)の結果です。県公表資料は広島・福山・呉を除く県管轄市町。
一日も早い、コロナ収束を願うばかりですが、一人ひとりが、引き続き、マスクの着用、手洗い、手指消毒や『3密回避』など、基本的な感染防止対策をすることが大切です。
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