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2022年1月 3日 (月)

共同給食調理場の再編について

晴れ

 令和3年11月5日に開催された令和3年度第1回江田島市総合教育会議(➡こちら)において「学校給食共同調理場統合の見通しについて」議題としてあがっています。

 江田島市の小中学校の児童生徒数が今後も減少が続く見込みであるから、2カ所ある調理場を統合する検討に入っています。

江田島学校給食共同調理場 江田島町秋月2丁目45番17号
西能美学校給食共同調理場 能美町中町4202番地2

 議事録(➡こちらP20から)によると、二つの調理場の統合を令和5年度当初と見込んでおり、次のようなスケジュールです。

 最低限の備品の整備や施設改修などを令和4年度中に、特に工事については調理場が稼働していない夏休み中に行う必要があり、予算要求の準備を行っている。

 市議会には、令和4年度の予算審査特別委員会において統合の時期等について説明し、校長会や調理場運営委員会に報告。令和4年度中に施設や備品の整備、条例改正等を行った上で令和5年度当初に調理場を統合する。令和5年度の夏休みに行う工事として、江田島調理場で使用していた移設可能な設備を移設する。

1409051_2 ➡令和4年2月定例会で方向性を決定することになります。市の方針を最終決定するのは『議会』です。つまり、市民代表の『議会』が最終的責任を持つということです。

 それだけ『議会』の責任は重いからこそ、市議選の投票率低下は、由々しきこと。(見過ごすことはできない)『誰がなっても同じ』ではありません。市の方向性を最終的に決断する議会の仕組みを知ってほしい。

2021年1211選挙後の議会をどう考える?

(1)統合の趣旨

 本市の小中学校の児童生徒数は、今後も減少が続く見込みであることから,江田島と西能美の共同調理場を西能美に統合し、効率的な運営を行うことを目的とする。

(2)現有施設の比較

 西能美調理場の方が江田島調理場より12年ほど新しく、150平方メートルほど広く、300食ほど調理能力が高いことから,江田島調理場を廃止して,西能美調理場から市内全ての小中学校へ給食を配食する。

(3)職員配置及び配食

  江田島 西能美 統合後の西能美
場長(市職員) 1人 1人 1人
事務員(市職員) 1人 1人 1人
栄養士(県職員) 1人 1人 1人
調理員(会計年度任用職員) 10人 14人 最終的に14人
配食数 500食(3校分) 800食(8校分) 1300食(11校分)
運搬車 1台 2台 3台
運転手(委託業者) 2人 4人 6人

※調理員数は統合後、14名まで減少できるものと見込んでいるが、現在の人員のうち、希望者を継続雇用することとし、当分の間は新規雇用を行わないことにより調整する方針。

(4)統合によるメリット

 運営コストの低減が最大のメリット。(コスト削減により保護者負担(給食費)の値上げをしないことで子育て世代を支援。

 江田島学校給食共同調理場の年間コストは令和2年度実績をもとに5000万円と試算。

 それ以外に、設備的に劣っている点(エアシャワーがない、コンテナプールと時間帯によっては汚染区画となる洗浄室が仕切られていない)を改修するには莫大な費用が必要になる。(故に廃止すべきという結論に至る。)

※江田島学校給食調理場の年間コスト(令和2年度実績から試算)

項       目 金  額
施設維持管理費(設備点検・保守委託料、光熱費、改修費、燃料費) 1500万円
人件費(場長、再任用職員) 1000万円
人件費(調理員10人) 2000万円
修繕料・改修工事費  500万円
合       計 5000万円

(5)デメリットと対策

デメリット 対     策
ア「大量納品が必要となるため,対応できる納入業者数は減少する傾向となる。」  地元業者の地元産品をできるだけ使用した上で,不足分を遠方の大きな業者に納入させることで対応できる
イ「栄養士が1人で市内全校を担当することになるため,業務が繁忙になる。」  栄養士が1人で市内全校を担当することになれば、現在に比して業務が繁忙になることは当然だが、他の自治体の体制から見ても「11校で1300食」というのはそう過重な責務ではないと思われ、栄養士と兼務している栄養教諭の職務との配分等を考慮することで対応すべきであると考える。
ウ「万一の際にバックアップできる調理場がなくなる。」  西能美調理場が万一使用できなくなったとしても、現在の江田島調理場には市内全域に配食できる設備や能力はなく、配食したとしても「主食だけ」「一品だけ」というような限定的なバックアップ体制になると思われる。
 そのような限定的なバックアップ体制を、多額のコストを投じて維持する必要はないと考える。
 また、市内には弁当の配食ができそうな仕出し業者が4か所程度あるので、万一の際はそういった業者さんに配食をお願いすることも考えられる。

2021119soumu_bunkyo-committee  市の方向性を受ける議会としては、【メリットとデメリット】を精査し、本当にそうなるかどうか検証して賛否を決断することが大切です。所管の総務文教常任委員会がしっかりチェックすることに期待します。(➡委員会名簿

 議題の最後では、江田島市の給食費が県内でも安いということが指摘されており、この値段を維持していくために、このたびの統合によるコスト削減を検討しているということでした。以下は議事録からの抜粋です。

○ 明岳市長
 ただいま協議第2号,「学校給食共同調理場統合の見通しについて」の説明を受けました。これにつきまして,御意見等ございませんでしょうか。ないですかね。

 メリットのところで,調理場運営コストが低減できるとあります。江田島市の給食費は,2年前に少し上げさせてもらったのですが,それでも23市町の中で低い位置にあるんですね。これから,物価が上がるなどの要因で,給食費の増額を検討しなければならない状況になることも考えられますが,そうすると,保護者の負担が大きくなるので,できるだけそういったことはしたくない。

 そういう思いで,これを統合していきたいと考えています。(=保護者の負担を軽減するために統合することが最善策

 給食費についても保護者の方と市からの負担金で運営してますので,運営コストが低減できれば,その分を給食費の増額による保護者の負担を抑制するために使うことを検討できる。

 そうした意味で,この取組は,保護者にとっても生徒にとってもいいことだろうと私は思ってます。

 運営コストが約年間5,000万というのは少しざくっとした数字なので,精査が必要だとは思ってますけども,これについても今から議会にも説明をしながら進めていきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。

 給食費は,今,23市町で比較して江田島市の保護者の負担は何番目ですか。

○ 仁井学校給食共同調理場総括場長
 改定した当時のデータですが,改定した後の金額で,小学校については,23市町で21番目,中学校については,海田町が中学校で給食を実施していないので,22市町で15番目です。どちらも県内では低い水準です。

○ 明岳市長
 2年前に改定したのですが,それでもまだまだ低い水準。これはもう保護者の方にも喜んでもらえると思うんですけど,そういった取組を進めていきたいと思っています。

※令和3年度に策定された江田島市行財政経営計画(➡こちら)があります。

 将来的に財政が厳しい江田島市としては、『受益者負担』として、公共施設の利用者や学校給食などの公共サービスを受ける市民へ負担をお願いすることもあります。

 最後は市長や議会の『政治判断』ということを第5期議会で説明されています。このことについて、第6期議会は『財政問題』と『市民ニーズ』とどう折り合いをつけるか議会内で政策討論をしなければならない。市民との対話として、『議会報告会』等をうまく活用することが大切です。

➡2021年7 8文教厚生常任委員会(R3.7.8)~行財政経営計画

小学校・中学校の統廃合
 平成16年11月1日に旧4町が合併し、新しく江田島市が誕生しました。学校の統廃合は、旧江田島町の答申を尊重する形で、旧江田島町の小中学校は合併後、順次統廃合しました。

 新市になって、小中学校の統合は進み、第1答申(平成17年12月)、第2次答申(平成21年6月)を経て、令和3年度現在、4中学校6小学校の10校となっています。合併直後からすると12校(小学校10、中学校2)が廃校となりました。

 第2次答申で対象となっている三高中学校については、現在、教育委員会が地元と協議中です。(→こちら) 教育委員会(学校教育課)の方針として、令和3年度(2021)中に覚書を締結し、令和4年度(2022)は統合準備や閉校前の行事を行い、令和5年(2023)年4月1日の統合に向けて取組を進める。

  小学校 中学校
廃校 存続 廃校 存続
江田島町 大須、秋月、宮ノ原、小用、津久茂 江田島、切串 切串 江田島
沖美町 三高 三高
能美町 高田 中町、鹿川 能美
大柿町 大君、飛渡瀬、柿浦 大古 大柿
合 計 10校 6校 2校 4校

小・中学校の学校数及び児童・生徒数の推移(毎年度5月1日現在)

  小学校 中学校 小・中合計
学校数 児童数 学校数 生徒数 学校数 児童生徒数
H17年度 16 1208 6 642 22 1850
H18年度 14 1179 5 615 19 1794
H19年度 10 1138 5 586 15 1724
H20年度 10 1085 5 549 15 1634
H21年度  9 1050 4 536 13 1586
H22年度  9 1006 4 537 13 1543
H23年度  9  962 4 538 13 1500
H24年度  8  937 4 512 12 1449
H25年度  8  914 4 475 12 1389
H26年度  7  886 4 461 11 1347
H27年度  7  837 4 456 11 1293
H28年度  7  827 4 436 11 1263
H29年度  7  804 4 403 11 1207
H30年度  7  785 4 388 11 1173
R 1年度  6  727 4 386 10 1113
R 2年度  6  720 4 390 10 1110
R 3年度  6  696 4 354 10 1050

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