選挙あれこれ~異議申出
晴れ
秋晴れの日々が続きます。まだ昼間は日差しが強いのですが、朝晩は冷え込み、一日の温度差がありますので体調には注意しましょう。
さて、市議選も終わり、ひと段落したところですが、全国では選挙後に『選挙の効力に関する異議の申出及び審査の申立て』を選挙管理委員会に提出したという事例を報道等で扱われることがあります。
よくあるのが次点となった候補者が最下位当選人と僅差で落選した場合で、『無効票』のなかに自身の『有効票』があるのではないか、若しくは最下位当選人の『有効票』とされた『疑問票』に疑義があるとして投票の再点検を選挙管理委員会に申し出るものです。(R3年3月三重県伊賀市議選→①5/9、②7/21、③8/19)
県内では平成27年(2015)8月9日執行の大竹市議会議員一般選挙において異議申出がなされました。こちらは最終的に最高裁判所まで争われました。(→大竹市HP)
一方で、先日もブログで紹介しましたが、『居住実態がない』として『当選無効』を選挙管理委員会に審査の申立てをする事例が散見されます。
ブログ記事→2021.9.11 居住実態による被選挙権の有無
住民票を移しても、『居住実態がない』として無効となる事例もあり、今年に入って特に取り上げられたのは1月に執行された埼玉県戸田市議会議員選挙でした。(→戸田市選挙管理委員会)
『居住実態』が要件ならば、何年も前から『住民票』がA自治体にあっても、実際にはB自治体に住んでいると、A自治体の被選挙権はない、(A自治体の議員になれない)ということになります。
(参考)
東洋経済オンライン記事→地方議員に3カ月の居住実態が必要となる意味
【参考】住所認定についての解釈 神奈川県清川村選挙管理委員会→村議会議員選挙における当選の効力に関する異議の申出に対する決定について 【決定書(→こちら)からの抜粋】 (公職選挙)法第9条第2項にいう住所とは、民法第22条で規定する「各人の生活の本拠をその者の住所とする。」と同義であると解される。 判例では、 「選挙に関しては、住所は1人につき1箇所に限定されているものと解すべきである。」(昭和23年12月18日最高裁判所判決) 、 「住所とは、生活の本拠、すなわち、その者の生活に最も関係の深い一般的生活、全生活の中心を指すものであり、一定の場所がある者の住所であるか否かは、客観的に生活の本拠たる実体を具備しているか否かにより決すべきものと解するのが相当である」(平成9年8月25日最高裁判所判決) 、 「その人がその場所に住所をおく意思を有するかどうかは、住所の存否を決するについての独立的要素をなすものではない。住所意思がなくても住所の設定を認めることができる。もっとも住所意思もまた生活の本拠を決定する標準の一つとして考慮にいれられるべきものではあるが、この場合、その住所意思を実現する客観的事実が形成されておらなければならない。」(昭和24年4月15日福岡高等裁判所判決) とされている。 |
尚、異議の申出及び審査の申立てについては期限があり、選挙の日から14日以内に当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会に申し出ることができると公職選挙法で定められています。
公職選挙法
(地方公共団体の議会の議員及び長の選挙の効力に関する異議の申出及び審査の申立て) 2 前項の規定により市町村の選挙管理委員会に対して異議を申し出た場合において、その決定に不服がある者は、その決定書の交付を受けた日又は第二百十五条の規定による告示の日から二十一日以内に、文書で当該都道府県の選挙管理委員会に審査を申し立てることができる。 (地方公共団体の議会の議員及び長の選挙の効力に関する訴訟) 2 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙の効力に関する訴訟は、前条第一項又は第二項の規定による異議の申出又は審査の申立てに対する都道府県の選挙管理委員会の決定又は裁決に対してのみ提起することができる。 (地方公共団体の議会の議員又は長の当選の効力に関する異議の申出及び審査の申立て) (地方公共団体の議会の議員及び長の当選の効力に関する訴訟) 第二百十五条 第二百二条第一項及び第二百六条第一項の異議の申出に対する決定又は第二百二条第二項及び第二百六条第二項の審査の申立てに対する裁決は、文書をもつてし、理由を附けて異議申出人又は審査申立人に交付するとともに、その要旨を告示しなければならない。 |
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