文教厚生常任委員会(R3.7.8)~行財政経営計画
雨のちくもり一時晴れ
午前中は文教厚生常任委員会に出席しました。新型コロナウイルス感染症拡大により5月~6月は委員会を自粛しており、久しぶりの委員会の開催です。
協議事項は以下の通りです。
(1)行財政経営計画について
2月18日開催の第2回全員協議会(→こちら)で総務部から行財政経営計画(→こちら)について委員会単位(議員数6人)での説明の場を開きたいという提案のもと、本日の文教厚生常任委員会を皮切りに説明会が始まりました。
(計画策定前には策定方針の説明が委員会単位でありました。→こちら)
まずは総務部財政課から計画の概要について説明がありました。補足資料として本日のポイント(→資料)が配布されました。
私としては、計画策定の諮問機関である行財政改革審議会の委員として審議の場(→要点録、R2年度行財政改革審議会)を通し、また、令和3年2月定例会において一般質問(→会議録抜粋)でその時点での疑問点を質疑しているので、計画の概要とポイントは理解しているつもりです。
行財政経営計画は、江田島市の最上位計画である第2次総合計画(平成27~令和6)の後半である令和2年度~令和6年度の5ヵ年の計画であり、従来の行財政改革実施計画と財政計画を統合したものです。
※5年間の財源不足は30億7,200万円。(→参考)
次なる10年(第3次総合計画 令和7~令和16)の“未来のまちづくり”のために、限られた財源のなかで”事業の選択と集中”により経営資源を選別・集約するとともに計画に基づいた“行財政経営”を実行する“人材育成と組織力強化”を目指す方針です。
この計画を実行するにあたって、市職員はもとより、議会、市民の皆様にも“過去を学び”、“現在(いま)を見つめ(現状把握)”、“未来を描く”ことが大切です。
市役所では、4月~5月にかけて、総務部長を班長とした行財政改革推進班(総務部・企画部の部課長で構成)が主催者として、全職員を対象に6回に分けて、“えたじまを経営するってどういうこと?”というテーマで研修会を開催。
行財政経営計画によると、一般財源が厳しくなる状況の中で、経常収支比率を如何に下げていくか。左は計画書作成段階での令和2年度から令和11年度までの経常収支比率の予測です。軒並み99%に近い数値になっているのを最終年度には95%とすることで、5年間で10億円の捻出を目標に掲げています。
(参考)2020年12月28日 一般質問から見る行財政について
経常収支比率
地方公共団体の財政構造の弾力性を表しており、人件費、扶助費、公債費などの経常的な経費に、地方税、地方交付税、地方譲与税などの経常的な収入がどの程度充当されているかを比率で示しています。この比率はおおむね70%から80%の間であることが理想とされています。 一般家庭でいえば、毎月の給料に占める食費や光熱費などの生活費やローン返済額の割合と考えると分かりやすいです。この割合が低いと自由に使えるお金が多い。逆に高いと生活が苦しくなります。 |
経常収支比率を抑えるために、事務事業の総点検をして、「必要性」、「有効性」、「効率性」の視点から抜本的な見直しを令和3年度に実施します。
行財政改革の推進は、補助金の見直し(→参考)、公共施設の使用料や住民票交付等の手数料の見直し等、市民の皆さんのご理解を頂かなければならない項目もあります。(→推進と実行項目)
※今年10月からの下水道料金の値上げもそのうちの一つです。(→こちら)
説明員からは、市民の皆様の負担をお願いすることは、最終的には”政治判断”と言う。分かりやすく言うと、”市長の提案と議会の承認”をもって市民に負担をお願いする、ということです。
このことについて、10月3日投開票の江田島市議会議員選挙(→こちら)の立候補者に『行財政経営計画』についてのスタンスを問うてもよいのではないか。
令和3年2月定例会で『行財政経営計画及び次期総合計画について』一般質問したときには、事務事業総点検の対象事業は約230事業ということでした。(→録画配信)
財源捻出のための事務事業総点検は、行財政経営計画の最も重要な取り組みです。事務局内での考えとして、240~250人の全職員のうち、初年度は部課長級30人に事務事業点検の手法(考え方含め)をマスターしてもらい、2年目以降は倍加して、4年目には全職員に浸透すること。(1年目30人→2年目60人→3年目120人→4年目240人)
上述の経常収支比率おける支出の部分(いわゆる義務的経費=必ず支払わなければな経費)には、大別すると4つあります。
①人件費 | 自治体職員の給与、手当、賞与、退職金などにかかるお金 |
②扶助費 | 生活保護や児童手当など、社会保障にかかる給付のお金 |
③公債費 | 市債(借金)の返済金 |
④迫りくる第4の義務的経費 | 公共施設の維持管理経費(光熱水費、人件費)、老朽化による建替費、修繕費。人口減少で税収が減るなかでボティーブローのように響く。 |
このたびの委員会で、①人件費について委員長が質問しました。定員適正化計画の中で、再任用職員(いわゆる退職した職員を最大3年間再雇用する制度)は定数外として人件費の積み増しになっているのではないかという確認質問。
左表は職員数の類似団体との比較です。支所・出張所が多いこと、公営の保育サービス、地形による消防出張所の設置などにより、類似団体よりも職員数が多いことがわかります。
総務部からは定員外としてカウントしていることを認め、人件費の増大に繋がっているというもの。平成27年度から令和1年度の決算ベースにおける一般会計決算額と人件費は以下の通り。
年度 | 一般会計決算額 | 人件費 | 割合 |
平成27年度 | 147億8,004万円 | 31億 654万円 | 21.0% |
平成28年度 | 154億2,999万円 | 31億2,810万円 | 20.3% |
平成29年度 | 151億5,658万円 | 31億3,578万円 | 20.7% |
平成30年度 | 155億6,654万円 | 31億6,058万円 | 21.0% |
令和 1年度 | 171億3,524万円 | 31億2,856万円 | 18.2% |
直近5年間では、年間31億円の人件費の支出であり、仮に5%カットすることで捻出する額は年額1億5,500万円。5年間で7億7,500万円になります。
このたびの行財政経営計画が目指す5年間のコスト削減10億円を達成するには、人件費に切り込むことが手っ取り早い。しかし、まずは、”無駄遣い”がないか総点検することが大切です。(参考→平成15年広島市財政非常事態宣言、2008年 呉市の財政健全化に向けた取り組み)
最後に。平成27(2015)年の国勢調査に基づいて国立社会保障・人口問題研究所(通称、社人研)が2018年(H30)に取りまとめた江田島市の人口推計(→HP、データ)を参考に作成した表をご覧ください。
これから25年以内に人口は半減し、1万人を割り込むことも想定され、”持続可能な江田島市”であり続けたいか、または、近隣市(広島市や呉市)への編入も視野にした運営を検討するか。
こちらも、いわゆる、”政治判断”となりますが、10月3日投開票で選ばれる議員(議会)が、将来的な”行財政経営”を見極めながら慎重に議論するタイミングになったと思慮。
2018年 国立社会保障人口問題研究所(社人研)平成27年国勢調査ベース
人口 | 増減 (対R3年) |
減少率 (対R3年) |
高齢化率 | |
2021 (R 3)年7月 | 21,355人 | - | - | 44.54% |
2025 (R 7)年 | 19,218人 | ▲ 2,137人 | 10.0% | 45.10% |
2030 (R12)年 | 16,854人 | ▲ 4,501人 | 23.4% | 45.20% |
2035 (R17)年 | 14,597人 | ▲ 6,758人 | 40.1% | 45.40% |
2040 (R22)年 | 12,560人 | ▲ 8,795人 | 60.3% | 46.20% |
2045 (R27)年 | 10,774人 | ▲10,581人 | 84.2% | 47.10% |
(2)今後の委員会活動について
総務部退席のあと、委員間で今後の委員会活動について協議しましました。10月末までの任期であり、8月の委員会をもって活動を取りまとめることになりました。令和1年11月からの2年間の委員会活動の締めくくりになります。
令和3年度の活動は4月から10月末まで。当初は、呉市に委託している可燃ごみ焼却施設の視察を検討しましたが、コロナ禍による市外視察を受けれ入れていないことで断念。
2021年4月15日 R3年4月文教厚生常任委員会
三高地区の小中学校における教育活動(→小学校における個別最適な学び、中学校におけるGIGAスクール元年の活動)の現地視察を予定していましたが、広島県に発令された緊急事態宣言で中止。
また、予算委員会で、鷲部地区のフレイル予防活動が先進的な取り組みであるとの報告を受けて、担当部署から詳細説明を受ける予定でしたが、ワクチン接種業務の繁忙期に重なったため、中止になりました。
次回委員会で報告書の取り纏めをすることが確認され、内容としては、本日の行財政経営計画についての意見及び今年度調査・視察できなかった事項を今年11月からの第6期議会文教厚生常任委員会へ調査事項として取り上げていただくよう申し送りすることになります。
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