県水道広域化と江田島市水道事業
晴れ
広島県が進める県内市町の水道事業を統合する「県内1水道構想」(水道広域化)では「統合による連携」か「統合以外による連携」の判断を今年度中(令和3年3月末)までにしなければなりません。左は”統合による連携”のメリットを示すものです。
左が太田川エリアの現在の状況であり、右が県が考える”統合による連携”における江田島市域を含む再整備案です。
再整備案によると江田島市にある5浄水場(前早世浄水場等)と県営宮原浄水場を旧廃止し、呉市宮原浄水場に集約することになっています。(広島県の水道広域連携進め方について→R2年1月PDF)
※呉市が”統合以外による連携”を選択したなかでどうなるのか気になるところ。(→新聞記事)
【参考】江田島市では「広報えたじま」で水道広域化の特集を組んでおり、昨年12月にはチラシも配布されています。
広報えたじま 2020年6月号
広報えたじま 2020年7月号
広報えたじま 2020年8月号
2020年12月 チラシ
昭和37年(1962)に江田島町、能美町、沖美町、大柿町が江能上水道組合を設立し、その後、江能水道企業団、江能広域事務組合と名称が変更され、平成16年(2004)11月に江能4町が合併したことにより江田島市企業局として水道事業が運営されています。
江田島市企業局が発足してからの水道事業決算書の損益計算書(H17~R1)の数値を纏めてみました。(→こちら)
※平成26年度に公営企業会計制度の大きな改正があり、『長期前受金』制度が定められました。非常に複雑ですが、会計上の利益(キャッシュの出し入れはない)として、『長期前受金戻入』相当額だけ、単純に増えることになりました。
【参考資料】
→総務省資料、鳥取県水道、会計制度変更による影響の分析、静岡市の減価償却と長期前受金戻入に関する資料)
人口減少により、給水収益は平成17年度に8億4501万円であったのもが令和元年度には6億5363万円と1億9138万円の減、減少率は22.3%。今後も人口減少により給水収益(給水量)は減るものと思われます。
老朽施設更新費用も増加が見込まれます。特に、広島県からの原水を江田島市に引き込む海底導水管が老朽化しており、更新には12億円の費用が掛かると言われています。(参考→H30年予算委(産業建設分科会)その2)
企業局の説明では、江田島市の水道事業が単独であれば、国交付金5億円、江田島市負担7億円ですが、水道広域化となった場合は、国交付金6億4000万円、江田島市負担5億6000万円と市の負担額が1億4000万円減ると試算されています。
将来を見据えると「県内1水道構想」に参加することが理にかなっているということになります。
しかしながら、広島県の「県内1水道構想」について広島市(坂町、府中町を含む)、福山市、呉市、尾道市、大竹市が不参加(統合以外の連携含む)を表明しており、実際のところ、統合後の企業団がどのように水道事業を運営していくのか不透明であり、このことを見極めることが大切です。
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