令和2年度江田島市議会議員研修
晴れのちくもり
午前中は議員研修に参加しました。これは議会基本条例第14条に基づくもので、平成30年度から行っています。
江田島市議会基本条例 (議員研修の充実強化) 第14条 議会は,議員の政策形成及び立案能力の向上等を図るため,議員研修の充実強化に努めるものとする。 2 議会は,議員研修の充実強化に当たり,広く各分野の専門家,市民等との議員研修会を年1回以上開催するものとする。 2019年 1月29日 平成30年度江田島市議会議員研修 2019.01.29 |
今回は議員のアンケートにもとづいて、「コンプライアンス研修」に決まり、講師、菊永将浩弁護士の講義を受けました。内容としては(1)政務活動費、(2)公職選挙法、(3)地方自治法の3つについて事例を交えて分かりやすく説明を受けました。
(1)政務活動費に関すること
昨今、政務活動費の支出項目について、マスコミ報道などで問題になっています。(参考→広島市議会・会派の広報誌)
条例で定められた支出できる範囲についてマニュアルにないものについて慎重に判断することが大切。例えば、駐車場代という言葉に駐輪場は含まれるか。茶菓子にケーキは含まれるか等。
(2) 公職選挙法に関すること
よくある事項として次の事例について説明がありました。
①選挙区内での弔電や香典についてどう考えるか。
公職の候補者等が葬式(告別式含む)に自ら出席してその場で香典を渡すことは問題ないが、事後は問題がある。また、通夜においても本人(代理はダメ)が香典を渡すことは問題ない。弔電は問題ないようです。
②支援者のお子さんが結婚した場合のご祝儀について。
公職の候補者等が、結婚披露宴に出席して、その場で祝儀を渡すことは問題ないが、事前・事後に渡すことは問題がある。
その他、年賀状や暑中見舞を選挙区内の有権者に送ることは禁止され、頂いたハガキ・手紙等に対する直筆の返答のみ許されます。(参考→埼玉県議会令和2年2月一般質問)
議員からの質問で、後援会が案内するのはどうか、との質問に対し、他の自治体で「あいさつ状の禁止(公選法152条)」に当たるのではと問題視された事例があるということです。
直近では福島県議会の副議長が自身の選挙区内の市議会議員に就任あいさつのボールペンを配布して、公職選挙法が禁じる寄付行為に当たるのではとの声が上がり、副議長職を辞任した例があります。(→朝日新聞)
(3) 地方自治法に関すること
よくあることとして、議員の兼職の禁止(第92条)と兼業禁止(第92条の2)が問題になります。(参考→総務省資料、その他資料)
特に、兼業禁止における「請負」が問題になることがあります。「請負」について、横浜市会の市会ジャーナル第153号(→こちら)がいろいろな事例について取りまとめているので参考になります。
尚、議員から、自治会の役員(自治会長)になることが「兼業禁止」に該当するかの質問がありました。
菊地弁護士からは、奈良市で議員が自治会長であることが問題視され報道(→新聞記事)で取り扱われたことの事例紹介がありました。また、学校などのPTA会長をしている議員が、当該PTA団体の予算審議について除斥されたという事例を紹介されました。
「自治会長との兼職」について、参考までに、2020年8月13日の【自治会とまちづくり協議会~補助金】から抜粋します。
・・・・・抜粋・・・・・
参考までに、議会改革推進特別委員会の検討事項に、『自治会長との兼職』があります。かつて議会では自治会長との兼職は控えるという了解がありました。理由としては次のことが挙げられます。
1.特定の地域代表者になってしまう
2.市から補助金を受けている団体の長としてはどうか
しかしながら、少子高齢化、人口減少が進み、『自治会役員のなり手不足』という現実のなかで、自治会長を引き受ける議員が増え、現職議員として5人が自治会長の兼職経験者となりました。
兼職が好ましくない根拠としては、地方自治法第92条の2に兼業禁止の規定があり、このことを理由に『区長、町内会長との兼任ができない』と解釈する市議会もあります。(→千葉県 館山市議会議員政治倫理条例逐条解説第5条、参考ブログ)
一方、福山市議会のように『議員は、市から活動及び運営に対する補助又は助成を受けている団体の長に就任しないように努めること。ただし、その職に帰する一切の報酬を受けていない場合を除く。』とあり、無報酬であれば問題ないということになっています。(→福山市議会政治倫理条例及び逐条解説第4条第1項)
補助金や助成を受ける団体の長に就任しないことを前提としているのは、議員は、補助金の予算に係る議会の議決に関与することから、市から補助等を受けている団体の有報酬の長に就任しないことが好ましい、という理由です。(参考→平成28年奈良新聞)
長野県大町市では、平成23年の議会と市民との意見交換会報告書において、自治会連合会から『自治会長への兼職禁止のルールを見直す要望』がなされました。理由としては、『多くの自治会では加入者が減り、高齢化等の理由により役員選出が困難で大変苦労している』が挙げられています。(→意見交換会実施報告書)
尚、江田島市議会の政治倫理条例は平成18年12月に制定されました。当時を知る議員も私を含め5人しかいません。制定に至った経緯としては、江田島市内で民間企業の産業廃棄物処分場建設をめぐる贈収賄事件で、元市議が逮捕され、また、現職議員が事情聴取されているなかで自裁したという悲しい出来事が発端でした。
『自治会長との兼職』については、補助を受ける団体の長が予算審議することが果たして適当か等の理由もあり、一度、議論することも必要とのことで議会運営委員会で確認され、議会改革推進特別委員会に引き継がれたものと理解しています。(→R2.5.10 R1年5月議運と第5回全員協議会)上述した3つの地方議会(館山市、福山市、大町市)の対応を参考に議論してみてはどうだろうか。
地方自治法第92条の2 普通地方公共団体の議会の議員は、当該普通地方公共団体に対し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人たることができない。(→参考資料) |
【参考過去ブログ】
2017年8月 8日 地域のあり方を考える
2020年1月 3日 2020年の展望~自治会~
2020年1月11日 江田島市の『まちづくり協議会』2020
・・・・・抜粋終了・・・・・
左は平成31年3月ごろだったと思いますが、議会事務局が全議員に配布したものと記憶しています。このたびの研修をお願いした『第一法規(株)』が発行した『自治体議員のコンプライアンス』という冊子で分かりやすい内容です。
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