自治会とまちづくり協議会~補助金
くもり
左表は平成30年度決算までの自治会への補助金の推移です。補助金の流れですが、市から4町の自治会連合会に交付され、連合会から単位自治会(31自治会)に更に交付されます。参考までに、補助金の交付額の計算式は以下の通り。
(世帯当たり単価 x 世帯数)+ 世帯割加算 + 事務局費 + 高齢者加算(75歳以上人口 x 単価)
補助金推移をご覧いただいてわかる通り平成24年から補助金が一気に増えたことがわかります。理由としては、敬老会を催す原資として対象者(75歳以上)の人数に応じて高齢者加算が補助金交付の対象なりました。平成30年度決算では、自治会全体への補助金総額は、1633万7300円で平成21年度に比べて2.4倍になりました。
単位自治会(31団体)の収入に占める市補助金はそれなりの割合を占めていると推測します。因みに、私が住む地域の自治会(980世帯)の平成30年度決算では、収入の45.7%を市補助金(一般補助金、一斉清掃補助金、高齢者枠助成金)が占めています。前年度繰越金を除くと、市補助金の割合は55.2%。
一方、『まちづくり協議会』に対する補助金の推移は左表の通りです。平成21年度から『まちづくり協議会』が各地で設立され、令和元年度で20団体となっていますが、構成が1自治会のところもあれば、複数の自治会の範囲で構成するところもあります。例、沖まちづくり協議会、三高まちづくり協議会。
これも江田島市における地域の多様性ということかもしれません。平成30年度の『まちづくり協議会』への補助金総額は1470万円であり、自治会と併せて3103万7300円という金額になります。『まちづくり協議会』への補助金の交付額を決定する計算式は以下の通り。
(世帯規模単価)+ 事務局加算額 + 事務局費
自治会と『まちづくり協議会』の違いが判らないとおっしゃる市民の方もいらっしゃると思います。こちらについては、市ホームページをご覧いただければと思います。(→まちづくり協議会、自治会)
尚、自治会等への補助金の原資の一部として、合併特例債で積み立てた『地域振興基金』(借金して積み立てた基金で、返済した額から利用可能な市の貯金)が充てられています。(参考→文書質問『市債について』P9~P10の地域振興基金の繰入状況)
参考までに、議会改革推進特別委員会の検討事項に、『自治会長との兼職』があります。かつて議会では自治会長との兼職は控えるという了解がありました。理由としては次のことが挙げられます。
1.特定の地域代表者になってしまう 2.市から補助金を受けている団体の長としてはどうか |
しかしながら、少子高齢化、人口減少が進み、『自治会役員のなり手不足』という現実のなかで、自治会長を引き受ける議員が増え、現職議員として5人が自治会長の兼職経験者となりました。
兼職が好ましくない根拠としては、地方自治法第92条の2に兼業禁止の規定があり、このことを理由に『区長、町内会長との兼任ができない』と解釈する市議会もあります。(→千葉県 館山市議会議員政治倫理条例逐条解説第5条、参考ブログ)
一方、福山市議会のように『議員は、市から活動及び運営に対する補助又は助成を受けている団体の長に就任しないように努めること。ただし、その職に帰する一切の報酬を受けていない場合を除く。』とあり、無報酬であれば問題ないということになっています。(→福山市議会政治倫理条例び逐条解説 第4条第1項)
補助金や助成を受ける団体の長に就任しないことを前提としているのは、議員は、補助金の予算に係る議会の議決に関与することから、市から補助等を受けている団体の有報酬の長に就任しないことが好ましい、という理由です。(参考→平成28年奈良新聞)
長野県大町市では、平成23年の議会と市民との意見交換会報告書において、自治会連合会から『自治会長への兼職禁止のルールを見直す要望』がなされました。理由としては、『多くの自治会では加入者が減り、高齢化等の理由により役員選出が困難で大変苦労している』が挙げられています。(→意見交換会実施報告書)
尚、江田島市議会の政治倫理条例は平成18年12月に制定されました。当時を知る議員も私を含め5人しかいません。制定に至った経緯としては、江田島市内で民間企業の産業廃棄物処分場建設をめぐる贈収賄事件で、元市議が逮捕され、また、現職議員が事情聴取されているなかで自裁したという悲しい出来事が発端でした。
『自治会長との兼職』については、補助を受ける団体の長が予算審議することが果たして適当か等の理由もあり、一度、議論することも必要とのことで議会運営委員会で確認され、議会改革推進特別委員会に引き継がれたものと理解しています。(→R2.5.10 R1年5月議運と第5回全員協議会)上述した3つの地方議会(館山市、福山市、大町市)の対応を参考に議論してみてはどうだろうか。
地方自治法第92条の2 普通地方公共団体の議会の議員は、当該普通地方公共団体に対し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人たることができない。(→参考資料) |
【参考過去ブログ】
2017年8月 8日 地域のあり方を考える
2020年1月 3日 2020年の展望~自治会~
2020年1月11日 江田島市の『まちづくり協議会』2020
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