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2019年12月 6日 (金)

議員の定数と報酬について2019.12

晴れのちくもり

 平成31年2月定例会で議会改革推進特別委員会が設置され、『議会の在り方』について調査することになっています。今年度、議員定数・報酬も含めた『議会に関する市民アンケート』(→2019.9.8)を行っています。現在、委託事業者が集計しており、12月20日までに報告書が納品されることになっています。

 議会改革特別員会は令和2年1月以降に「定数・報酬」も含めてアンケート結果を参考に「議会の在り方」について協議することになります。

 議員定数については改選1年前の来秋(令和2年)を目途に取りまとめることになっており、市民アンケート結果だけでなく、委員会報告会や公聴会制度(→参考)を活用して市民と意見交換しならが結論を導き出すことが求められます。

 委員会の結論をもとに全員協議会等で議員間討議することで議会としての意見集約が図られる予定です。

 ここで「議員定数」について考えてみたい。これまで他の自治体のアンケートを見る限り、議員定数を削減すべきであるとの意見が多い。江田島市の人口は県内市で議員数が一番少ない竹原市(定数14)よりも約2200人少ない。また、次回選挙から定数2減の16とする安芸高田市の面積は江田島市の5.3倍であり、市民からすると議員が多いということになる。

江田島市と県内市との比較
 人口は2019年11月1日現在。安芸高田市は次回選挙から定数2減。

  江田島市 大竹市 竹原市 安芸高田市
定数 18 16 14 18(16)
人口 22,961 26,826 25,163 28,497
面積(k㎡) 100.71 78.66 118.23 537.75

 議員同士で話をすると『定数削減やむなし』という意見もありますが、定数を減らすことが『議会改革』ではない。昨年、議会運営委員会で竹原市議会と意見交換をしたとき、竹原市の議員からは定数を減らすべきではない(議員不在の地域住民の声が届かない等)、というご意見がありました。(→視察研修メモ

 地方分権一括法により、国から地方公共団体、都道府県から市町村への事務・権限の移譲等により市町村の業務量が増え、また、行政をチェックする議会の仕事も範囲が広がっており、『現状維持』との声もある。

 これに対しては『定数が減っても資質向上で補える』という意見もあるでしょう。(一部では、市民の声を届けるには『定数増』との意見もある。)

 人口減少及びこれによる税収減という厳しい状況のなかでは『現状維持(若しくは定数増)』は民意を得るにはハードルが高い。定数を現状維持とするならば、議会費の抑制のため『報酬削減等によってバランスを取る』しかないともいえる。

 そうなれば現役世代の立候補意欲はそがれ、必然的に議員の高齢化に繋がることも予測される。定数・報酬を考えるなら、思い切って定数を削減(例えば定数10)し、専業で生計を立てるくらいの報酬額にするという考え方もある。

 一方で、近年、地方議会では『議員のなり手不足の深刻化』(→2018.12.8)が問題になっています。今年4月の統一地方選挙を前に昨年12月に中国新聞が掲載した記事によると『なり手不足の要因』として以下のことを挙げている。

人口減少
② 高齢の議員が引退
③ 後継者が見つからないケースが増えた
議員報酬が低いとして現役世代に敬遠される
⑤ 地方議会への無関心
⑥ 地方議員に魅力を感じられない

 総務省の『町村議会のあり方に関する研究会(→こちら)』が2018年3月にまとめた報告書によると議員のなり手不足の要因として以下のことを指摘しています。

広範な事項を議決対象としており、専門性がより強く求められるとともに拘束時間が長くなっている
② 各市町村において定数削減を進めてきた結果、元々議員定数が少ない小規模市町村ほど議員の負担感が増加している。
小規模市町村においては、時間的拘束が大きい一方、議員報酬だけでは生計を立てていけない状況にある。
④ 小規模市町村においては、人口が少なく、事業所も限られていることから、兼職禁止及び請負禁止の実態的影響が大きい。
⑤ 平日昼間を中心とした定例会及び臨時会方式による議会運営では、兼業議員として活動しにくい
⑥ 労働者が議員として活動しようとする場合、各企業等の就業規則などによって兼業が困難な場合がある。


 地方議会に無関心という市民も多くいます。まずは地方議会制度を理解する必要があり、以下のとおり整理することができます。『定数・報酬』を考えるには、類似団体との人口・面積・財政の比較だけでなく、地方議会制度の仕組みのなかで『議員のなり手不足』に陥らないためにはどうすべきか、という視点も必要です。

 議会改革特別委員会としては『なり手不足解消の視点』および『地方議会制度の趣旨』も踏まえ、市民との意見交換や公聴会制度を活用しながら議論して『議員定数・報酬』の結論を導き出すことが大切です。

○ 地方議会は、憲法第93条第1項の「議事機関」として地方公共団体に設置されている。
○ 地方議会は、住民全体を代表する機関であり、住民の直接選挙で選出される議員により構成される。
○ 地方議会は、地方公共団体の意思を決定する機能(意思決定機関)及び執行機関を監視する機能を担うものとして、同じく住民から直接選挙された長(執行機関)と相互にけん制し合うことにより、地方自治の適切な運営を実現することとされている。
○ 地方自治法上、地方議会は、都道府県・市区町村の別、又はその団体の規模を問わず、一つの制度として定められている

以下は参考として示します。

合併前の4町及び合併直後の江田島市(平成16年11月1日)
 平成16年11月1日の合併時は4町の議員53人が在任特例(1年間)で市議会議員になる。市長選に伴なう辞職により52人になる。

  江田島町 能美町 沖美町 大柿町 江田島市
定数 16 12 12 14 54
実数 16 12 12 13 53(52)
議長 26万5千円 25万5千円 24万5千円 26万5千円 25万8千円
副議長 22万5千円 21万円 20万円 22万2千円 21万4千円
議員 21万円 19万円 18万円 20万5千円 19万6千円

合併後の平成17年改選は人口比による小選挙区制

  江田島町 能美町 沖美町 大柿町
定数 10 5 3 8
立候補者数 11 9 7 12
最年少当選 46歳 40歳 61歳 35歳
最年長当選 74歳 63歳 64歳 66歳
当選者平均 60.8歳 50.6歳 62.0歳 55.5歳

江田島市議会 定数・報酬の変遷 

  H17年改選 H21年改選 H25年改選 H29年改選
定数 26 20 18 18
立候補者数 39 28 21 19
最年少当選 35歳 39歳 43歳 36歳
最年長当選 74歳 70歳 74歳 78歳
当選者平均 57.3歳 59.8歳 62.3歳 63.5歳
議長 H18.12から33万9千円 41万円
副議長 H18.12から29万8千円 35万5千円
議員 H18.12から27万円 32万5千円
(備考) H19.4~H21.10
正副議長7%、議員 5%カット
H26.4~
報酬増
 
元職員(一部事務組合含む) 1 2 3 4
元職員の比率 3.8% 10.0% 16.6% 22.2%
人口(11月1日) 30,571 27,897 26,141(25,566) 24,173(23,409)

県内の議員定数に関する議論

尾道市議会
2018年11月22日 尾道市議会の定数・報酬問題
2018年12 5議員定数をどう決めるか(尾道1減)

安芸高田市議会
2019年 615安芸高田市議会、特別委が定数2減の方針
2019年 7 2安芸高田市議会、定数2減を決定
2019年 922安芸高田市議会、委員会数や報酬議論へ

呉市議会
2019年 9 6呉市議会、定数・報酬議論スタート
2019年1011呉市議会 定数・報酬議論(R1.10.10)

三次市議会
2019年10月 4日 三次市議会、議長が定数の現状維持に言及

議員定数に関する過去ブログ
2010年 2月25日 議員定数について
2010年1022議員定数について(1)
2010年1025議員定数について(2)
2012年 419議員定数について(3
2013年 1月17日 議会改革特委の結論、定数2減へ
2013年 2月19日 議員定数削減の改正案を2月定例会へ
2016年12月 5日 H28年 議会改革について その5
2018年12 5議員定数をどう決めるか
2019年 9月 8日 江田島市議会、議会に関するアンケート実施

『なり手不足』に関する過去ブログ
2013年 619なり手不足~市町村議会~
2016年1227議会改選は一つの指標
2017年 131地方議会の悩み
2017年 825世代交代の予兆~江田島市議会
2018年 527なり手不足について@県東部(H30.5.27
2018年12月 8日 地方議員、なり手不足深刻化2018
2019年 728なり手不足~2019年大竹市議会議員選挙

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