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2017年8月 4日 (金)

議会の調査権~百条調査

晴れ

 週末から週明けにかけて台風5号の動きが気になります。
 
今回は議会の調査権について。地方自治法100条に規定があることから百条調査と呼ばれ、議会にとって最も強力な権限とされています。(議員個人に調査権は認められていない。)最近では東京都議会による「豊洲市場移転問題に関する調査特別委員会」で話題になりました。
 
この百条調査は、議会が持っている条例制定権や予算議決権等の権限を有効・適切に行使することを目的としており、執行機関だけでなく、第三者である選挙人(選挙権を有する住民)その他の関係者を証人として喚問し、証言を求め、あるいは資料の提出を求めることができます。また、調査の実効性を上げるために罰則による強制力も付与されています。真実を究明することを目的として議会に与えられたものといえます。
 
調査対象となるのは、「当該普通地方公共団体の事務」であり、議会の調査が及ぶ範囲は広範であるといえますが、実際の調査に当たっては、具体的に調査事項を特定する必要があります。
 調査の実施主体は議会ですが、実際の運用では調査に係る特別委員会を設置し、当該委員会に対して調査を委任することになります。百条調査権は議会に対して認められているので委員会に委任する旨の議決が必要。議会の過半数が解明すべしという事案でないと成立しません。
 上述のとおり、本来の
目的は住民に代わって疑義を持たれている事務執行等を調査し内容を明らかにすること(事実解明)であり、追求ではありません。調査の結果、事務執行が適正、公平に行なわれていることが判明したときは、その旨を報告することが求められ、これによって住民等から執行機関に投げられかけた疑惑・不信をなくすことができます。これこそ議会のチェック機能としての最終手段といえるのではないだろうか

【江田島市議会基本条例の抜粋】

(議会の活動原則)
第2条 議会は,次に掲げる原則に基づき活動を行わなければならない。

(1)
 公正性,透明性等を確保し,市民に開かれた議会を目指すこと。
(2)
 市民の多様な意見を的確に把握し,政策形成に適切に反映できるよう,市民参加の機会の拡充に努めること。
(3)
 把握した市民の多様な意見を基に政策提言,政策立案等の強化に努めること。
(4)
 市民本位の立場から,適正な市政運営が行われているかを監視し,評価すること。
(5)
 議会運営は,市民の傍聴の意欲が高まるよう,分かりやすい視点,方法等で行うこと。

(議員の活動原則)

第3条 議員は,次に掲げる原則に基づき活動を行わなければならない。

(1)
 議会が言論の府であること及び合議制機関であることを十分認識し,議員間の自由な討議を重んじること。
(2)
 市政の課題全般について,市民の意見を的確に把握するとともに,自己の資質を高める不断の研さんによって,市民全体の代表としてふさわしい活動をすること。
(3)
 議会の構成員として,一部団体及び地域の代表にとらわれず,市民全体の福祉の向上を目指して活動すること。

(議会審議における論点情報の形成)

第8条 議会は,市長が提案する重要な政策について,議会審議における論点情報を形成し,その政策水準を高めることに資するため,市長に対し,次に掲げる事項について明らかにするよう求めるものとする。

(1)
 重要な政策等を必要とする背景
(2)
 検討した他の政策案等との比較検討
(3)
 重要な政策等の形成過程における市民の意見公募等の実施状況
(4)
 総合計画における根拠又は位置付け
(5)
 関係法令,条例等
(6)
 財源措置
(7)
 将来にわたる効果及び費用
(8)
 前各号に掲げる事項のほか,議長が必要と認める事項
2 議会は,重要な政策等の提案を受けたときは,立案及び執行における論点及び争点を明らかにするとともに,執行後における政策評価に資する審議に努めるものとする。

(予算及び決算における政策説明)

第9条 議会は,予算及び決算の審議に当たっては,前条の規定に準じて,分かりやすい施策別又は事業別の説明資料の作成を市長に求めるものとする。

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