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2017年4月 7日 (金)

汚染土処理施設反対運動 その2

雨のちくもり

 江田島市沖美町に建設中の汚染土処理施設について、1万人を目標に反対署名活動がなされています。(→H29.3.26H29.3.28
 4月4日までに4,089名の署名が集まっていると聞いています。そのうち約60%(2,470名)が江田島市民ということです。
 施設立地周辺にある大黒神島海域は江田島市以外の事業者も牡蠣養殖をしており、廿日市市、広島市、呉市の事業者等からも署名が集まっていると思われます。
 1~2割は陸路ということで、倉橋島(音戸町、倉橋町)もダンプによる騒音・粉じん等を懸念して署名する方も増えてくるのではないだろうか。これは江田島市内の大君~大原~小古江~鹿川~岡大王という輸送ルートの住民にとっても同じです。

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 左は市環境課が沖地区まちづくり協議会の一部住民に対して昨年12月9日の説明会で配布した資料から。(→PDF

※12月末時点で施設は約7割が完成といわている。

 広島県の『汚染土壌処理施設の設置に係る地元調整に関する要綱』では、施設の設置は『手続の終了』をもって行われることになっています。2月8日の中国新聞(→こちら)にあるとおり、昨年4月から処理場として整備()を進めていたということは、この時点で『手続き終了』ということになります。ここでポイントとなるのは次に示す『手続き』であり、①関係地域の指定②生活環境影響調査の実施③地元説明会④意見調整がどのようになされたか検証してみる必要があります。

(追記)広報えたじま5月号差込記事
平成28年5月19日 設置事業者から、地元説明の報告書が広島県へ提出される。事前手続きは終了したとして、施設建設が可能となる。

①関係地域の指定

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 県は要綱に基づき、市及び事業者の意見を聞きながら、関係地域を決定します。要綱7条では『当該処理施設の周辺100mの範囲を「関係地域」』に指定するという一つの基準があります。

 江田島市に対しては、関係自治体ということで、県から昨年2月2日に問い合わせがあり、市は『事業者に対し、公害防止計画を確実に実行すること及び漁業関係者への周知並びに関係地域住民との合意形成が得られるよう』要望しています。

※昨年2月時点で、市は事業者の汚染土処理施設建設計画を把握していた。

②生活環境調査の実施

 生活環境調査の実施が必要条件であれば、実施されていると思われます。どのような調査を実施し、どのように関係者に説明したかがポイントですが、情報公開は住民や漁業者との信頼関係を構築するには重要な要素です。

※今年2月に宮城県塩釜市で汚染土処理施設の計画を中止した企業は調査結果も踏まえた詳細資料で住民説明会を開催しています。(住民説明会報告書→こちら、中止に関する記事→こちら

※宮城県の『汚染土処理施設の設置等に関する指導要綱』ではインターネットを利用する方法その他地域住民等が容易に知ることができる方法により公開しなければならないと規定しています。(→こちら

③地元説明会

 事業者は県の指導に基づいて周辺100mの範囲(工業団地内11社)と地元漁協(沖漁協)を関係者として説明及び同意を求めています。
 事業者が整備し始めて半年を過ぎた昨年11月中旬に建設計画の情報が周辺地域住民、土木企業、一部市議の間で広まり始めました。地域住民の要請で昨年12月9日に市環境課が沖地区まちづくり協議会の一部地元住民を対象に説明会を開く。(事業者側は不在)その後、4漁協(沖、鹿川、三高、美能)の要請で事業者側が説明会を開きましたが、理解が得られず、最終的に1月下旬に江田島市内の全11漁協が反対意見書を市に提出しました。

④意見調整

 事業者側としては、県の指導等に基づいて、『関係地域』指定により工業団地内11社および沖漁協関係者に説明し、意見調整がなされ、同意を得たものとして県に報告していると推測します。整備を始めたということは、県が『手続き終了』と判断したということだと思います。

※沖漁協(組合長)は建設に賛成したわけでないと反論。(H29.2.8中国新聞)

 ただ、年末から年始にかけての一連の動きにより、江田島市は今年1月下旬、認可の判断を慎重にするよう広島県に文書で申し入れています。市長の見解は、『事業者と地元住民、漁協の総合理解が不十分。もう一度、最初から話し合いを始め、結論を出すべき』。県環境保全課は『現状は、地元の合意形成ができてきないという認識だ。認可の判断は、それができて以降になる』と説明している。(→H29.2.8中国新聞)今後、署名活動で集めた嘆願書を許可権者である広島県知事に提出することになるでしょう。また江田島市議会へ『県知事へ意見書の提出を求める請願』の提出も検討されている聞きます。このとき議会はどう判断するか。

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