交通船事業の収支、あれこれ
晴れのちくもり
昨日は交通船事業のモニタリング評価結果公表について書きました。評価シート(→PDF)にある3.乗降客・経常損益等の推移表(左)を参考に、過去の決算書から拾った数字をもとに市直営時代の営業損益を含めた推移表(右)を作成してみました。
市直営と公設民営における収支比較をするにあたって注意しなければならない点が2つあります。ひとつは①減価償却であり、市直営では営業損益(本業である航路運営)においては費用として減価償却費を計上し、5千万~1億4千万円の営業赤字で推移していました。
もうひとつは、市直営では営業外収入として、②他会計補助金等を計上し、経常損益の押し上げ要因があったことも考慮しなければなりません。(実質的な赤字補填?)
この二つの点を考慮して、左は減価償却費および他会計補助金等を除いた収支表にしてみました。(→Excel file)少し見づらいかもしれませんが、この表にある営業損益と経常損益が公設民営の数字と比べる数字であり、民間委託(指定管理者制度利用)によって営業損益の実質的な改善が見て取れます。この原因が何なのか、ということも具体的に把握しなければなりません。
お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、まずは①人件費です。公務員と民間の給与格差が如実に反映されます。次に②燃油代です。原油高であった時代は特に営業赤字幅が大きい。燃料の仕入単価は民間企業のほうが安い。
これら2つのことは、住民説明会(平成25年)の資料を見ても明らかなことであり、この点について住民から厳しいご指摘もありました。(参考PDF→平成25年度第3回公共交通協議会 西能美航路再々編(案))
※完全ではありませんが、参考までに平成15年度から平成26年度までの交通船事業決算書(能美町と江田島市)から抽出した損益計算書の数値を取り纏めた表→交通船事業損益計算書(Excel file)
今後、少子高齢化・人口減少によって、このままでは乗降客の減少に拍車がかかり、航路採算も厳しくなることが予想されます。しかし、『ワクワクできる、恵み多き島、えたじま』に船で来ていただく仕組みづくりをすることによって乗り切りましょう。対岸の広島市民120万人の10%(12万人)が一年に1回でも船に乗って島に来ていただくよう頑張ってまいりましょう。(→H28.8.13、H28.11.18)
※減価償却費
船舶・建物・機械装置などは何年にもわたって使用するため、購入した事業年度の費用としてまとめて計上しない。資産価値の減少分を耐用年数にわたって毎期の費用として計上する方法が減価償却。最初の購入段階において費用とされなかった分が、減価償却によってあとから法定耐用年数にわたって経費として計上される。現金支出を伴わない費用。
※指定管理者制度のモニタリング結果公表
江田島市は指定管理者制度を利用して、17団体が122施設の管理代行しています。このたび、交通船事業についてモニタリング結果を公表しました。その他の施設についても、順次、指定管理者モニタリングをして結果公表に向けて取り組んでほしい。特に指定管理料を支払っている施設においては早急に対応すべき。これこそ、第3次行財政改革の目指すところです。(→H29.1.5)
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