H25年度 続・第3回公共交通協議会
晴れ
今日の中国新聞に西能美航路再々編のヒントになる記事も実は掲載されていました。(お気付きの市民の方もいらっしゃったのではないだろうか。)
前々から公共交通のあり方を調査するなかで気になる存在であった両備グループ代表の小嶋光信氏のご意見です。(中国新聞記事➡PDF)
小島代表の持論として公共交通の生き残りは「公設民営」ということです。但し、今回は鉄道・バスについての論文であり、航路運営について当てはまるかどうか、これから確認しなければなりません。
さて、昨日の公共交通協議会で事務局から「たたき台」として提示された「市営船の完全民営化案を軸」とした議論の方針(案)について協議会としては了承した形となりました。
事務局から出された方針(案)の理由は以下のとおりです。便宜的に理由は①などの数字を付記し、以下に現時点での私の素朴な疑問と見解を追記します。
理由① 将来にわたって利用者の減少が見込まれる中、西能美航路を維持していくためには、一層の経費削減が避けられないが、このためには、三高航路及び中町・高田航路を一体的に運営することによる合理化・効率化を進める必要がある。
(私見)三高航路と中町・高田航路を一体的に運営することには賛成です。今回の再々編が三高航路の維持を主目的に検討されていることを明確にすべきである。
すでに江田島市としては「ドリームのうみ号」を安価な金額で貸与(月額50万の年額600万円。過去の議会への説明では、本来は月額200万円を超える。)であり、約2,000万円の間接補助金を民間の江田島汽船に支給しているとみなせます。行政単独での2航路維持に限界があることを十分市民の皆さんにご理解いただかなければなりません。
理由② また、航路の存続のためには、江田島市だけでなく、県や周辺自治体と連携・協力した持続可能な支援体制を構築していくことが望まれる。
(私見)県では平成23年度から県内の生活航路を対象とした補助制度(生活航路維持確保対策事業補助金)を設けており、江田島市でも4航路(宇品~三高、宇品~切串、宇品~小用、呉~小用)が対象となっている。しかし、中町・高田航路は市営船のままでは県の補助の対象とならない。
バス路線と要件や趣旨は異なるかもしれないが、バスは市営でも補助金対象であった。平成23年からスタートした県補助制度ですが、まだ江田島市を結ぶ航路では補助金支給の実績はありません。
理由③ さらに、市営船の経営改善については、人件費の面等で制約があり、今後とも収支の改善が図られる見通しが立たない。
(私見)全日本海員組合(以下、全日海)の縛りがあるとしても基本給では民間会社と同じ。期末手当等で厚遇されている。
赤字でも4カ月近いボーナスは条例・法律違反とならない市の見解もどうかと思う。(全日海についての参考過去記事→こちら)
江田島を発着する民間船会社の一部会社では会社存続のため、組合の規定よりも30%近くカットして運営している会社もあると今回の協議会で発言されていました。(→第3回公共交通協議会議事録7ページ)
この点が住民説明会における「企業努力が足りない」という市民の意見になるのでしょう。(写真は2009年(平成21)6月議会の一般質問を掲載した議会だより第19号から)
理由④ 公設民営化方式については、中町・高田航路に対して市が関与できる余地が残るというメリットはあるが、民間事業者単独による収支が見込まれる中で公的な支援策を講じることは、他の航路事業者との均衡を失することとなる。
(私見)もともと(昭和23年から)何故、公営船でしていたのか、そして今、公営では人件費等の削減が出来ず、民間委託に活路を見出さざるをえないとの視点がありません。中町・高田航路のみを単独で完全民営化するだけでは今回の再々編は意味がありません。
現行の三高航路単独では赤字であり、両航路を人件費の安価な民間事業者に一括して運航してもらって初めて両航路合算の収支が黒字であることをはっきりと示すべきです。ここが三高航路の死守、という意味になります。ここでも三高航路には「ドリームのうみ号」の安価なレンタルという公的補助もありえます。
「完全民営化」における船舶の確保についての担保が示されていない。仮に、市所有船を購入して民間会社が運航したとしても近い将来「船舶の更新」が必要であり、新造船もしくは中古船購入の資金調達が可能かどうか不透明(不安要素)。
公営船事業を移譲するのであれば、昨日の協議会で一委員が発言した「3つの担保条件」を満たすことを市民(特に利用者)に示さなければならないと思います。(→昨日の記事)
いずれにしても、11月1日から新しい議会が発足します。「市営船」についての案件は必ず議会の議決事項になります。よって、新議会(所管委員会等)がしっかりと精査することが重要です。仮に市が「完全民営化」の方針を決定したとしても「受け皿」となる会社が市民の為の航路運営が出来るかどうかとういう見極めを時間をかけて行わなければなりません。
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