西能美航路、再々編のゆくえ②
雨のち晴れ
午後2時からの第2回江田島市公共交通協議会を傍聴しました。協議事項は以下の通りです。
(1)おれんじ号のダイヤ改正について
燃料高騰や利用者数減少により減速航行で燃料費節減を試みるため、6月16日(日)から江田島汽船がダイヤ改正(→こちら)しました。フェリー到着時間に合わせるため、三高桟橋を経由する沖美北部線及び南部線のダイヤ改正をすることについて説明。
(2)おれんじ号の運行について
平成22年10月の運航開始から今年9月で3年を迎えます。当初目標の収支率20%を満たすのは3系統のうち沖美南部線のみ。これまでの利用実績や今後(H25.4~12)の動向を加味した見直しを行って来年4月から本格実施することにしたい、という事務局からの報告。
(3)西能美航路の再々編について
今年12月には結論を出すという『西能美航路の再々編』。事務局(江田島市総務部企画振興課)から、再々編の基本的な考えが示されました。(PDFファイル→こちら)
①少なくとも向こう5年間は、再々編後の水準で持続可能な見通しのあるものとする。
②生活航路維持の観点から、サービス水準(三高13往復、中町・高田20往復)以上の便数を確保する。
③乗船料については現行の水準を維持する。(消費税の税率変更は除く。)
④積み残しがでないよう、中町・高田航路の朝7時台の便は250人以上の輸送能力を確保する。
この観点から江田島市営船を市営継続・公設民営・完全民営という3つの素案が提示されました。写真は3案における中町・高田~宇品航路の営業費用比較表です。(PDFファイル→こちら)
この比較表もいろいろ質問したいことが沢山あります。企画振興課の真意が協議会メンバーに伝わったかどうか疑問です。ともあれ、3素案を簡単に説明すると以下のとおりとなります。
第1案 企業局交通船存続(現行のまま江田島市営船)
これは次の(4)ともリンクしますが、現行の27往復から22往復の便数に減便したとしても年間7千万円の赤字。一方、三高航路も5年間で約5千万の赤字を見込む。
→現実的ではないでしょう。
第2案 公設民営化・・・能美海上ロッジ、シーサイド温泉のうみ、サンビーチおきみの3施設を休暇村サービスに指定管理者として委ねていることをイメージしてください。
先ずは、三高航路を運航する事業者(現在は江田島汽船)に運航を委託。かつ27往復から24往復への減便が前提条件。市が持つ4隻の高速船のうち3隻を民間会社に無償貸与。燃料費や船員費の削減、予備船の外部化や陸上業務の集約によって年間1億1千万円のコスト削減を見込む。
第3案 完全民営化
こちらは三高航路を運航する事業者に航権(航路を運営する権利)を移譲するというもの。第2案と同じく27往復から24往復へ減便することが前提条件。3隻のうち1隻を80人乗り小型船(総トン数50トン→小用~宇品の「おやしお」タイプ→参考)を導入することで燃料費などの経費削減。
私見として、この3素案の中では第2案の公設民営化がいいのではないかと考えています。ただ、今回の協議会資料もラフなところもあり、問題点を潰していかなければならない。協議会の委員からは市民益になる交通体系にしてほしい、とか、市民(能美町に限らず江田島市全域)への説明が必要との声もありました。まったくその通りです。
(4)交通船事業の経営改善計画について
左写真の通り、再々編の前に江田島市交通船事業の経営改善を図りたいというもので、平日27便を3便減の24便にして燃料費を年間1,500万円削減する。
手持ち資料でみると、平成23年度決算時点で累積赤字は4億7,110万円。平成24年度収支予測でいくと純損益は6,339万円。また、平成25年度当初予算をみると少なくとも5,200万円の赤字。平成26年3月末時点での累積赤字は5億8,600万円ということになります。
合併して9年になりますが、この9年間に1億9,000万円の税金を補助金として投入していることを考えれば、累積赤字額は大きい。(平成17年度には積立金8,000万円の取り崩しも行っています。)
こういった財政状況を鑑みると市民の理解を得れば早期実現したいというところではないでしょうか。その点で私も賛成です。
上記(3)、(4)については、市民に正確な情報を公開し、確かな理解をしていただくことが必要です。今年12月の再々編方針策定までに市民(能美町だけでなく全市的に)との意見交換をしっかり持つことこそ信頼される行政であると思います。
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