議会改革にむけて
くもり一時雨
6月23日の定例会決議(発議第3号)により議会改革特別委員会が設置されることになりました。本委員会でこれから審議すべき事項について私見を纏めてみました。数値については若干古いものもあるかもしれません。また、議論すべき点はその他にもあるでしょうが、取り急ぎ重要と思われるものを抽出しました。
①議会基本条例の制定
平成23年1月3日 中国新聞に中国地方の市町村議長に対するアンケート調査等をもとに”議会改革”に関する特集記事が掲載されました。議会改革の柱として『議会基本条例制定』が大きな流れであるという結果がでています。
広島県内では平成22年に呉市と三次市が議会基本条例(議会の役割や議会運営の基本原則)を制定しています。江田島市議会では2008年8月に総務常任委員会が勉強会を開始し、また、先進地視察をしましたが現時点で何の進展もありません。
単に他の自治体の基本条例をそのまま導入するというのではなく、市民の意見を聞く場を設けて慎重に審議することが大切です。つまり、制定することを目的とするのではなく、住民自治を実践するためには議会がどうあるべきかを市民とともに真剣に討議すべきであり、そのための議会報告会を早期に開催する必要があると考えます。
②議会報告会の開催
議会改革に向けての第一弾として、直接市民と対話する議会報告会を開催することから始めてみる。議会活動の状況を直接市民に報告かつ情報を提供し、市民からは意見や提言を聞くというものを想定します。
一案として、3月定例会で次年度予算が決定した後の5月連休明けに旧4町ごとに一会場で行う。班分けした議員5名(20名÷4ヵ所)が一会場を担当する。尚、班分けの基準は3常任委員会(産業建設・文教厚生・総務)と出身町を考慮したもの。
報告会については先進地域(三次市議会、呉市議会)の議会と情報交換をしながら江田島方式を確立すればよいと考えます。
■三次市議会
広島県内では最も早く開催しており、2009年2月13日の中国新聞に三次市議会の議会報告会の記事が掲載された。平成19年度に続いての2回目(平成20年度)は参加市民が408人から713人へ増加した。いかに市民の関心が高いかということがわかる。
第一回(平成19年8月7日から10日までの4日間)は市内19か所で開催され、報告会の成果として議会運営に反映すべき5項目が提言されている。
(1)議会がもつあらゆる情報を積極的に公開し、市民との「直接対話」の促進に努め、市民の意見を政策提言に反映する。
(2)地域の現状を分析する調査活動を強化し、市政運営に関するチェック機関として、その役割を充実させる。
(3)政務調査費を活用した調査研究活動については、その成果が政策立案に発揮できるよう、議員の政策形成能力をさらに高める。
(4)「議会だより」の発行にあたっては、審議の状況を明確に掲載すると同時に、特別な事項については、「テーマ」を設定して特集する等、内容の充実をめざす。
(5)議会基本条例の制定については、早期制定に向けて今後も調査研究を続け、さらに議論を深める。
■呉市議会
議会基本条例に基づいて2010年11月(11、15日)に『議会報告会』を開催しました。初めての開催ということで試験的に実行委員会の8議員が2か所で行う。
新聞報道によると、今後は毎年1回、市内20か所で市議会議員が班編成をして地域を分担しながら開催する。報告会の方針としては、当初予算の概要説明を行い、市民からの意見・要望を含めた報告書を策定し、市長に報告するというもの。
(1)開催場所 2か所(呉会場・広会場)
(2)議会報告
・議会の役割: 議会のチェック機能,議決権など
・議会基本条例: 議会基本条例制定の経緯と概要説明
・議会内の改革: 議員報酬の減額,議員定数の削減,一問一答制の導入,インターネット中継の実施
(3)議会についての意見交換
③議会の録画中継
2008(平成20)年3月定例会で議会の録画中継を市のホームページで流してはどうかという一般質問をしました。議場には2つのカメラがあり(同時に映すことはできない)、本会議中は各課長が別室にてモニターを見ている。(録画することは可能。)
一般質問や賛成・反対討論があった場合には議会録画中継配信(ビデオオンデマンド)をしてみてはどうか。仕事などで傍聴にいけない若い世代のみなさんにも臨場感ある議会活動を伝えることができる。編集してビデオテープやDVDで貸し出しすることも一つの案。
最近では、低コストで導入できるインターネット・ライブ中継(USTEAM=ユーストリーム)などもあるので検討してみることも必要です。この場合、本庁や支所で放映することも念頭にいれてみる。(→議会事務局員で対応できなければ、ライブ放送をするために、業務に精通した市内業者を選定してもいい。)
(補足) 議会の土・日開催 : 平日の日中に議会傍聴できない市民(特に働き世代)のため、一般質問等の議事日程を土・日にすることも検討する必要がある。
④議員定数
一般的に議会改革のもう一つの柱と考えられているのが議員定数問題です。各自治体の厳しい財政事情や世論(市民の声)もあり、議員定数減によって人件費を削減する風潮があります。(議員報酬削減も同じような趣旨で並行して議論されています。)
しかし、財政再建という理由だけのために定数削減や報酬をカットする議論は本質的な議会改革にはなりません。”議会はどうあるべきか”、という観点での改革が必要と考えます。
江田島市議会では、合併してから定数を52→26→20と削減しており、次回選挙までに報酬も含めて議会としての方向性を示さなければなりません。タイミングとしては任期折返しとなる今年度内には結論を出すべきである。
竹原市議会が平成22年11月の改選直前の9月定例会で定数削減(16→14)を決定したが、改選間際になっての変更は無用の混乱を招きかねない。
尚、江田島町・能美町・沖美町・大柿町合併協議会の協議第63号では2回目の一般選挙からは人口類似団体の例を参考とした定数とする、と確認されています。
(参考)江田島市議会の定数に関する変遷
○平成16年(2004)10月31日まで
(合併前の旧4町議員が任期1年限りで自動的に市会議員)
江田島町16、能美町12、沖美町12、大柿町13(定数14、欠員1)の計53人が市議。
○平成17年(2005)2月21日 第一回臨時議会
合併後の市議会議員選挙は、旧町単位で選挙区を設けることで決定。 平成12年(2000)国勢調査に基づいて定数を決める。
選挙区 | 江田島町 | 能美町 | 沖美町 | 大柿町 | 合計 |
定数 | 10 | 5 | 3 | 8 | 26 |
現職 | 16 | 12 | 12 | 12 | 52 |
○平成18年(2006)12月定例会
議員定数を20とする。(地方自治法の上限は26)
⑤議員報酬
江田島市議会議員の報酬は県内14市でもっとも低い額である。(左写真ご参照) 合併当初から議員報酬に対する基本的な考え方は、議員報酬総額が人口類似団体(大竹市、竹原市、安芸高田市など)と同程度というものである。
平成17年10月16日執行の選挙で議員数が52から26になった時点で報酬額をアップした。(一時、5~7%の報酬カットを実行。) ただし、4年後の選挙(平成21年10月4日執行)で総数26から20に削減されたが報酬額は現状維持であり、結果的に議会は約23%の人件費削減を実行したことになる。(未だ報酬審議会が招集されてことはない。)
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