下水道と合併浄化槽
くもり
気象庁によりますと今日、中国地方が梅雨入りしたようです。
江田島市は建設費用や汚水処理費が今後の市財政にとって重荷になりかねないとして昨年度(平成20年度)に思い切った見直しをしました。今回は下水道と合併浄化槽について市民負担の公平性という視点で考えてみます。
いま私の住居は下水道ではなく合併浄化槽(5人槽)です。1年間の維持管理費用は以下のとおりとなっています。
保守点検 4,725円/回 X 3回/年 = 14,175円
清掃費(2,430リットル計算) 31,590円
法定検査(浄化槽法11条 効率化検査) 5,000円
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合計 50,765円 (1ヶ月4,230円)
もし下水道に接続していれば以下の下水道使用料となります。(私の住居は上水道のみ使用しているので、上水道の利用量が下水道の使用量として計算されます。)
上水道使用量 下水道料金
平成20年 4- 5月 17㎥ 2,289円
平成20年 6- 7月 21㎥ 2,898円
平成20年 8- 9月 18㎥ 2,436円
平成20年10-11月 20㎥ 2,730円
平成20年12-平成21年1月 20㎥ 2,730円
平成21年 2- 3月 22㎥ 3,066円
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合計 16,149円 (1ヶ月1,348円)
下水道の方が年間34,616円(1ヶ月2,844円)安かったということになります。(まだ住んでいる地域は整備されていません。) 江田島市下水道課から説明されたときの目安として、2ヶ月の水道使用量は2人世帯で30㎥、3人世帯で40㎥、4人世帯で50㎥ということでした。
この数字を基にすると年間の下水道使用料は2人世帯で26,460円、3人世帯で36,540円、4人世帯で46,620円です。標準的な4人世帯でも合併浄化槽(5人槽)のほうが割高となります。
江田島市が一般会計から繰り出す今年度の下水道・農業集落排水事業へのお金は総額7億7,448万円です。3月31日現在の人口が28,204人(広報えたじま5月号)ですから市民一人当たり27,460円の市が自由に使えるお金(一般会計)を注いでいることになります。
下水道の汚水処理費については、使用料収入をはじめとする下水道事業の経営に伴う収入で賄うものとされていますが現実には赤字となるために一般会計から補てんしている自治体がほとんどです。
つまり下水道サービスを受けていない住民からすると他の公共サービスの予算が削られて下水道事業に充てられていることと同じであり、間接的に下水道料金を負担していることになります。(合併浄化槽を使用している市民からすると、割高な汚水処理費負担しているうえに下水道料金までも負担している。)
昨年度、下水道事業見直しがあり、下水道建設が中止となった地区が2つあります。下水道計画を中止する代わりに浄化槽設置の補助金がアップしました。(他の下水道整備計画から外れている地域も補助金がアップ。5人槽で約36万円から50万円へ。)
しかし、一年間のコストは下水道利用の方が安く、間接的に下水道料金負担しているとしか思えないと苦言を呈する市民もいました。まったく同感です。
この不公平感を薄める方法はいま全国で広がりつつあります。広島県では安芸高田市が先進地域でしょう。人口密集地でない地域では下水道建設費用は高くつきます。下水道管の距離が長くなればなるほど高い。
下水道整備よりも財政負担が少なくかつ短い期間で生活排水対策ができる手法があります。市町村設置型の浄化槽整備事業です。自治体が合併浄化槽を設置し、維持管理費を負担し、住民は下水道料金と同じ使用料を支払うとすればどうですか?これならば財政負担が軽減され、浄化槽を利用する市民も納得しませんか?
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コメント
芝田様
コメントありがとうございます。安芸高田市の市設置型浄化槽整備事業の記事は下記にあります。
http://www.hirokankyou.jp/pdf/kouhou_32.pdf
投稿: 胡子まさのぶ | 2009年8月10日 (月) 10:08
プログでご活躍の様子よくわかります。いいですね。
浄化槽整備事業の仕組みは大変良い手法だと感じました。
私は東広島市に住むものですが、今年から来年度にかけて下水道が整備されます。受益者負担金という押売り賦課金が課せられるのと下水道への接続が義務付けられています。高齢となった今、100万円の支出は苦しいものがあります。選択の余地はなく、賦課金に至っては延滞税まで取るようになっています。公共下水道の接続については弱者への配慮を忘れないようにしてほしいものです。不公平感について安芸高田市の施策とはどのようなものでしょうか。またブログで詳しく教えていただければと思います。
投稿: 芝田照夫 | 2009年8月 3日 (月) 09:29